お金の話ではなく、開発者としての態度の話。
少し前までは、無垢だった
ゲーム開発に集中出来る環境になって早くも半年ほど経過した。
この半年の間、自分なりに(個人)開発、ゲーム、ユーザーというものに全力で向き合ってきたつもりだ。
その生活を続ける中で徐々に心境の変化があり、そしてそれは一概に良い変化とも言えない複雑なものになっている。
半年ほど前で言えば、自分の収益を公開しようとしたらふるあぷさんに止められたことを思い出す。
当時までは、本気で「(個人開発という)業界に貢献しなきゃ」という気持ちから、自分の持っているデータなんかは全て公開していいと考えていた。
それまで数多の記事やツイートを見漁って(例えばふるあぷさんのブログに代表される)、個人開発者という生き方に憧れた。
途中、挫折して色んな道に逸れたりもしたが、結局はゲーム開発をして生きていきたいと思い、本気で向き合うことになった。
だからこそ、技術的なものから人生訓まで色んな人の発信によって救われた自覚があったから、自分も早くそれを求めている人たちに対して何か還元したいと本気で思っていた。
だが、今は全くそう思わない。
正直に言うと、極力情報を公開したくない。
発信したい人は、意外といる
まず単純な1つ目の理由として、この業界を数年眺めていて、初心者向けに発信したい人たちというのは意外と多く、気づいたら勝手に生えてくる(そして消えていく)ことが分かった、というのがある。
「別に自分が言わなくていいか」と思うことは多くなった。
収益もそうだが、例えばゲーム開発におけるバグなどに対して助けを求めているポスト。
自分は恐らく解決策を知っているようなものでも、単純に文字を打つのが面倒だし、何よりそれが初心者っぽい内容であればなおさら「自分で調べろや」と思ってしまうようになった。
AIの影響も多分にあると思う。AIに聞いたらええやんと思ってしまう。
そんなくせに、自分は何かに行き詰まったら誰かのポストを探しているという矛盾がある。
言うならばハイエナだ。
最低で、すみません。
でも、ある程度自分で調べる能力がないのであれば、その先に無限にある「自分で調べて、考えて、乗り越えなければいけない壁」は越えられないと、個人開発者として真剣に開発すればするほど感じるようになった。
だから、変に期待させないほうがむしろ幸せなのではないかとすら思う。
人の成功が見たくない
2つ目の理由だが、というかこっちがメインなのだが、ライバルを増やしたくないと心のどこかで思ってしまっている。
「この情報は、たどり着くのは(AIがあっても)難しい」そう感じるものほど公益性は高いだろうに、そういうものほど絶対に誰にも知られたくないと思ってしまうようになった。
それを公開することによって顔も知らないどこかの、特に自分と同レベルのような誰かが得をする、それが自分には耐えられなくなった。
別に出し抜いて優越感に浸りたいわけではない(と、思いたい)。
むしろ、個人開発者はみんな売れて幸せになって欲しいという気持ちはある。それは本音だ。
だが、それと相反するような、嫉妬のような感情が芽生えだし、共存するようになった。
例えば自分と同レベルだと思っていた人のアプリが売れて、悔しくて眠れずに夜中作業することがある。
本気でやっているからこそ、そういうことが頻繁に起きるようになった。
結果、誰かを導いてあげたいといった「奉仕」の精神が全くと言っていいほどなくなった。
最低で、すみません(二回目)。
自分が売れることに集中する、それ以外の時間が無駄に感じるようになったし、それをしていない開発者には負けたくないと思うようになった。
もちろん、そういった情報を発信することが完全にデメリットでないこともあるだろう。巡り巡って良いことが起きる可能性だってある。開発者のつながりが出来たり。
でも、今のところは黙っていてもどこかの誰かがぽろっと呟いているし、なんなら技術的なもので言えばAIが99%解決してくれるようになった。
つまり、ハイエナで事足りてしまっていて、気づいたらハイエナでしかいられなくなってしまった。
そして、このインターネットという世界には自分のようなハイエナみたいな奴が跋扈していると考えたら、更に何かを公開する気力が失せてくる。
こんな状態だからこそ、売れてる人たちが厭わずにオープンな場で情報交換をし合っているのを見るたびに、自分というちっぽけな存在が浮き彫りになって辛くなることがある。
開発界隈は自分にとっては、あまりに綺麗すぎるのかもしれない。
交流≠馴れ合い
じゃあ自分はこのまま孤独に突き進みたいのかというと、そんなことはない。
というか、別にこんなことを書いてきたが、もし例えば開発者飲み会のようなクローズドな場で何かを聞かれたら、むしろかなり丁寧に情報を共有する自信すらある。なぞの自信だけど。
でも、別に馴れ合いたい訳じゃない。
貴重な時間を「ちょっと調べれば分かること」を教えることに使いたいわけではないのだ。そんな時間があるなら、頭がちぎれるぐらい考え抜いている自分のアプリについて、更に時間を使いたい。
最近「収益だけ載せてる人」に対する恐らくは嫉妬混じりのポストが話題になっていたが、実際気持ちは分からんでもない。
でも、自分のようなハイエナだけになったらうっすら感じる「儲かってそうだな」の雰囲気すらわからなくなるだろう。
だから彼らは仮に承認欲求だけでやっているとしても、夢を見させてくれるだけありがたい存在なのだ。
俺は必死にやるよ
少し話が脱線した。
他人と比較することはあまり意味がない、そういわれるような世界かもしれないが、それでも事実として自分はこんな状況になっている。
もしこのぐらい本気で個人ゲーム開発に向き合っている誰かが、少しでも共感してくれたら本望だ。
不景気な世の中や、ゲームやモバイルの良い話は一般的にはあまり聞こえてこないかもしれない。自分も不安でいっぱいだ。
でも、AppleStoreもGooglePlayはまだ可能性はあると身を持って感じているし、それ以外の様々な状況を踏まえてもゲーム開発は、これからも突き進む価値のある市場だと思う。
なので頑張りましょう!
今日は以上です。